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投稿日時:2015-02-09 4:00 PM

「ここまで行ける!」市民とつくる車椅子行動マップ

執筆者:笹田可枝(株式会社たからのやま・コミュニティーマネージャー オープンデータ事業担当)

 ドイツ発祥の「Wheelmap」(ホイールマップ)は、車椅子利用者が自力で行ける場所の情報をオンライン地図にして世界に発信するものです。バリアフリーマップは色々ありますが、多くは自治体や特定の団体が管理しているため、ほとんどの場合予算に合わせての情報更新になる傾向があります。一方、誰でも場所を選ばず外出先からでも参加が出来るWheelmapは、情報も比較的新しく保てるのが特徴です。

 Wheelmapのイベントは今回が四国初開催。当日は北海道大学学術研究員でOpenStreetMap(オープンストリートマップ)の専門家・古川泰人氏をお招きし、参加者・スタッフ総勢20人あまりでオンラインのバリアフリーマップを作成しました。

街歩き

 阿波踊り会館に集合した参加者は、まずWheelmapの活動についての説明や車椅子目線での撮影方法を学びました。また、介護用車椅子・電動車椅子・シニアカータイプ車椅子をレンタルし、車椅子での街歩き体験も同時に行いました。街歩きは4班に分かれ、各班に1人の車椅子利用者と親子連れなど普段車椅子を利用していない人でチーム組みしました。

 各班に担当範囲を割り振り、市民が多く利用しそうな施設の車椅子アクセシビリティについてメモを取り写真を撮影。また、協力してもらった施設や興味を持った方にはWheelmapのステッカーも配布し、紹介活動も同時に繰り広げました。

 街に出ると、普段はあまり気にならない多くの発見がありました。例えば、歩道の段差を車椅子で周ると、登る時と降りる時両方で力が必要なことが分かりました。

一般的ATM

 上の写真は、車椅子の目線で銀行の一般的なATMを写したものです。この高さで見ると画面は真っ暗で操作が出来ません。

 倒れた自転車や路肩に車が止まっていると、歩道を降りしばらく危険な車道を通らないと前には進めません。最近はあまり使うことがなくなった公衆電話も、中まで入れず電話番号をプッシュするのも大変でした。

 2時間近くの街歩きの後再び阿波踊り会館に戻り、チェックした内容はスマートフォンやパソコンを使いWheelmapに反映していきました。Wheelmapでは「緑:車椅子可 オレンジ:車椅子一部可 赤:車椅子不可 グレー:不明」が標準の色分けですが、個々の車椅子利用者によっては必ずしも色分けが適切かどうか分かりません。そのため、詳細画面で写真をアップすることで補完しています。

マッピング

 Wheelmapは、車椅子を利用する上での困難な箇所を見つけて自治体や施設の後進性を批判するのではなく、車椅子で利用可能な情報を挙げ、行動範囲を広げるのが目的です。そんな情報の積み重ねが市民活動の刺激となり、市民から自然と改善策が生まれるのが好ましいと思います。

 昨年の春からオープンデータ推進としてイベント開催や機会をいただき、参加した勉強会などでオープンデータを利用した技術や利活用について発信してきました。そして徳島でも市民主体でテクノロジーを活用し地域課題解決に取り組む『Code for Tokushima』の活動も始まります。こうした、自治体ではない一般市民が自発的に活動することでオープンデータの知名度や仲間、サービスが広がりつつあります。私たちの活動を通して、徳島に空けた風穴から自発的活動の輪が広がる予感を感じました。

※1月12日付けの朝日新聞に掲載されています。https://www.asahi.com/articles/ASH1C4CJ4H1CPUTB002.html