投稿日時:2015-12-18 12:23 PM

ビッグデータから”にし阿波”の観光を考えるワークショップを開催しました

にし阿波観光地
にし阿波〜剣山・吉野川観光圏〜イメージ

執筆者:笹田可枝(株式会社たからのやま・コミュニティーマネージャー)

 国や徳島県では、オープンデータ・ビッグデータの推進事業が進んでいます。(株)たからのやまでは平成24年2月22日のIODD(インターナショナル・オープンデータ・デイ 平成25年IODDイベントレポートはこちら)から徳島県のオープンデータ・ビッグデータ利活用に関わり、オープンデータ・ビッグデータにあまりなじみのない一般の人にオープンデータの話やイベント開催をしてきました。

 実は観光庁から平成25年に公開された全国で数カ所実施した「GPS機能による位置情報等を活用した観光行動の調査分析」の対象地域に「にし阿波〜剣山・吉野川観光圏〜」が選ばれ、更にコロプラとKDDIも同年に「位置情報ビッグデータを活用した観光動態分析の実証実験」を同地区で実施するなど同一県内で2つも行われているのは徳島県のみでした。

 ところが、こうした取り組みは県民にあまり知られておらず結果のデータも活用されている様子が見られないのは大変もったいないので、これを題材にイベントを開催しました。

ビッグデータとは
 ビッグデータとはただ単にデータの量が膨大というだけではなく、ビッグデータを構成するデータの出所が多様であることが特徴。現在既に活用が進んでいる分野はウェブサービス分野でオンラインショッピング・ブログサイト・ソーシャルメディア・CRM(Customer Relationship Management)システムなどがある。ダイレクトメールデータ、会員カードデータ等のカスタマーデータなどデータを連携させる事で”あなたにお勧めの商品表示”などが出来るようになる。
ワークショップの参考データ
 平成25年「GPS機能による位置情報等を活用した観光行動の調査分析」/観光庁
観光庁のとりまとめで、まずNTTドコモの持つオートGPS機能を利用しているユーザーから利用許諾を得た上で位置情報データを蓄積。その後、ゼンリンデータコム社が混雑統計サービスで情報から個人情報を抜いたデータに加工、集計している。これを基に野村総研がまとめて報告書を作成。

データを元に考える議論をしてみよう

 普段私たちは、何を基準に物事の判断をしているでしょうか?個人の経験?それとも人の噂?偉い人の話かもしれません。今回はデータを元に判断することに慣れるためのワークショップを開催しました。 データをみんなで一緒に読み、
 ・ここに何が書いてあるのか
 ・そこから何が読み取れるのか
 ・次にどんな事が考えられるのか
 自分の考えだけではなく、みんなでアイディアを出し合う手法を勉強していきます。

 まずは今回の案内人、(株)たからのやま副社長・本田よりビッグデータやこの調査の解説がされました。
今回のデータを読み取るときに設定されている定義は以下の通りです。
 ・観光圏内に180分以上の滞在で「観光客」
 ・観光旅行全行程で出発地から観光圏までの片道移動距離が80km以上、又は移動滞在時間合計が8時間以上の観光客は「日帰り」
 ・観光圏内外に関わらず旅行中に1泊以上した観光客は「宿泊」

 ビッグデータ(統計・調査)から導き出されるものは、日常で当たり前の結果しか出ないこともあります。あるいはまた、私たちが思っていたのとは全く違った結果が出るかもしれません。どちらが正しいというのではなく、そこから何が見られるのか考えることが大切です。

 今回使用したデータも”個人情報保護の観点から性別や年齢情報がない”、”オートGPS機能をONにしているユーザーは限られている”と実際の観光客の実態とは少し異なっています。そして、性別や年齢情報がないため詳細な分析はできません。

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ワークショップの様子:データから考える

色んな立場からの意見が面白い

 参加者の主な属性はITに詳しい人、観光に詳しい人、行政関係の人に分類されました。グループ内に各属性から1人は入るように配置していくことで、色々な立場からの意見による面白い分析が可能になります。案内人からデータを読み取るポイントと読み取り例が発表された後は参加者みんなで実践です。

【データから考えるときの注意点】
 ・データは判断材料の1つ
 ・自説の強化にデータを引用しない

【にし阿波観光地域の特徴を見つけよう】
 ・調査・分析結果の原因について考えてみる
 ・調査・分析結果と日々の経験・判断を比べてみる

 データを鵜呑みにせず、偏った見方をしない、仮説を裏切るデータをどう読み取るかも重要なポイントです。これらを参考にまずは個人でデータを読み取り、次にグループで読み取った結果を共有しました。

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ワークショップの様子:グループでの議論を発表しています

データから観たにし阿波観光

【グループの発表】

    ●滞在時間の数字に注目
  • データから滞在時間の相当短いのがかずら橋、長いのが落合集落だった。
  • 個人旅行と団体旅行で数字が違ってくるのではないかと考えられる。
  • かずら橋は団体旅行が多いので短いと考えられるが、それ以上に数字が短いのでこの数字は満足度を示しているのではないか。
  • 長時間かけて行って、がっかりして帰って来ている観光客が多いのではないか。
  • 落合集落は滞在時間が長く満足度が高いと考えられる。
  • データは2012年のものだが、このデータをもとに県でも落合集落を推しているではと思った。
    ●かずら橋が気になった
  • 県外客の立寄先で大阪、広島、東京からの観光客はかずら橋が1番だが、京都の人はかずら橋にあまり行っていない様子。(出発都道府県別滞在者数比率)
  • 冬場の滞在時間が多いのは帰省客が滞在しているのも入っているのではと考えられる。
  • 高知からの観光客が井川のスキー場に来ているのも見て取れた。
    ●データ分析全体から
  • にし阿波が観光誘致に力を入れているので、東部から入って西部で観光して宿泊をしている導線が出来ているのが数値で感じられた。
  • 東部・南部との交流データが興味深く、食事時間帯にどこにいるかが分かればどこで食事をしているかが分かり面白いのではないか。
  • 辺ぴなところに滞在時間が長いことに着目点を置くと、交通の便が悪いことによる鉄道待ちの時間が滞在時間の長い原因に含まれているのではないか。
  • 交流エリア別平日・休日別の滞在者数では休日よりも平日の滞在者が多いエリアが6つもあるのが興味深かった。
    ●交流エリア別に見た滞在者数から
  • にし阿波観光圏の大きなスポットの大歩危・かずら橋は組み合わせて滞在周遊しているとは思うが、滞在時間が短い。
  • 徳島県全体が全国的に見ると宿泊者が少ない。
  • 行くことは行くが、他地域・他県に流れて行くことが多いのではないかと考えられる。
  • 阿波池田1ヶ所滞在が多いのが疑問だったが、汽車の待ち時間が数字に表れてるのではという気もした。

 同じ資料でもグループによって着目点も違い、色々な読み方ができました。この様にデータで読み取ったことを元にどの県にアピールしたら有効か、逆にどの県にアピールが足りないのか。滞在者が多いシーズンに合わせてイベントをするなど、今後の観光誘致や集客促進に役立つデータが見つかるかもしれません。

 あなたはデータから何を見つけましたか?

 ※今回使用した資料はこちら