投稿日時:2014-08-28 9:30 AM

看取る覚悟をもって模索する限界集落 – 鹿児島県肝付町のある集落を訪れて

辺塚地区辺塚地区の様子。住人のいなくなった家が草木に囲まれて自然に帰ろうとしています。

執筆者:奥田浩美(株式会社たからのやま・代表取締役)

 鹿児島県の右下・大隅半島に位置する肝付町。半日掛かりでこの町の限界集落を役場の職員二人と訪ねました。というのも、この町は車で東西の横断に90分、南北に至っては120分も走らなくてはいけません。介護福祉士が集落を全て周るのに、1日に250キロ走る必要があるそうです。

 私達が向かったのは、8世帯11名が住む辺塚という地区。平家の落人伝説が残り、道路側からも海側からも集落があることが分からない、鬱蒼と茂る山林の中に佇む集落です。

 木々に覆われた家が点在する中で、行きに通りがかった時も、帰りに通りがかった時も縁側に座っているおばあちゃんがいました。 集落で一番若いおばあちゃん、80歳だそうです。

 福祉担当の職員が言いました。
「あのおばあちゃんに『デイサービスに行ったら?』と誘ったんです。そしたら『80歳で一番若いのに、デイサービスなんか行ったら周囲に笑われる。自分がまだ集落でお年寄りを見守らなきゃ』って。」

 電車もバスも廃止されて、まったく交通のない集落。朝起きて畑を見に行って、お隣の二軒のお年寄りの家を回って、縁側に座って過ぎていく暮らし。それでもそんな3人のコミュニティながら「他人に必要とされている」という実感が持てる暮らしのような気がします。

 その担当者が続けて言いました。
 「この集落にテレビ電話を導入したのです。その電話は町とお年寄りを結ぶというより、結果的には集落の中のお年寄り同士が見守る仕組みになりました。
 でも、最初、町がこの集落にテレビ電話を入れようと言った時、ここのあるお年寄りは『98歳の自分たちのためにそんなお金を掛ける必要はないから…』って言ったんですよ。でも、日本で最初に消滅していくような地域を持つ私たちは、それを察している集落のお年寄りに最大の知恵を使って何かのサポートを検証していくことこそが、この地に生まれ自治体の職員である自分の使命なんです。」

 「今はテレビ電話と並行してタブレットが何かの役に立つんじゃないか? 人と人を繋ぐという、とても大事なことに使えるんじゃないか? 高齢者の孤独を無くすツールになるんじゃないか?と模索しています。
 模索といっても、もしかするとホスピスのような最期を覚悟を持って見守る担当者になるのかもしれません。それでもここで生を受けた自分がちゃんと見守りながら、これから日本に増えるはずの、消滅していく地域に何らかの覚悟と手がかりを示せればと思っているのです。

 そう語る肝付町の担当者。私達は、そんな町に(弊社が展開する)「ITふれあいカフェ」を作って、共に模索してゆきたいと思っています。

Category:トピック ブログ

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