プレゼンテーションを行うハナラボ生

投稿日時:2012-11-13 9:30 AM

地域の課題解決を通じ成長する女子大生たちーハナラボの取り組み

 2012年10月28日、東京で「ハナラボ大報告会」が開催された。

 ハナラボ(ハナジョブ・イノベーションラボ 代表:角めぐみ氏)とは、女子大生の就職を支援するハナジョブから生まれたインターンシップ・プログラム。自らの手で道を切り拓き、社会変革の担い手となる人材を輩出することを目的とし、社会問題の解決を図りながら、チームワークによる思考・実行能力を高めることが出来る。

 ハナラボの特徴は、
・女子学生の強みを伸ばす
・地域に入って課題発見・アイディア提案
・地域と協力しながら課題解決

 とあり、当日は今年の春から山梨県の北杜(ほくと)市(山梨県の県庁所在地・甲府の北西部に位置)で行われた活動の途中経過が報告された。

3つのプロジェクトが発表!

ハナラボ
プレゼンに続いて行われたグループワークの様子

 発表されたプロジェクト3つ。

・ほくとラボ
 北杜市には大学がなく、大学進学者はそのまま地元に帰ってこない傾向がある。地元では学ぶ場も働く場もないと高校生たちは思っている。しかし、ここにも若々しく自ら行動を起こしている多くの大人がいることにハナラボ生たちは気づいた。そこで、高校生のうちから多様な価値観・選択肢を伝えることを目標とし、彼女たちが間を取り持ち、そうした大人と高校生が繋がる場を提供することになった。既に第一回目が地元の高校で開催され、今後、この活動を地元主体で回せるような体制づくりを目指している。

・お弁当プロジェクト
 平成の大合併によって北杜市は誕生した。しかし、市民にとっては「一体感の喪失、自分の町以外への無関心、北杜市という意識の欠如」という感覚を持っていることがハナラボ生たちの調査で分かった。一方、それぞれの町には個性があり、何よりも北杜市は101%の食料自給率を誇る。そこで、地元の女性グループと協力し、8つの町の魅力(特産)を入れたお弁当を作成。イベントなどで定期的に販売を繰り返し、好評を博した。

・増冨(農村ホームステイと修行リゾート)
 同市の増冨地区は、東京都世田谷区と同じ規模の面積の土地に500人しか居住しておらず、65歳以上が64%という完全な限界集落である。修行地としての霊山やラジウム温泉、パワースポットが点在する増冨には癒しの力があると感じたハナラボ生たちは、20-30代女性を対象にカジュアルな修行を提案。近年のプチ修行体験流行り(高野山カフェや坊主バー)を背景に、修行といえば増冨というブランドの構築を目指す。少人数での修行体験ツアーを開催し、今後も定期的に実施する予定だ。

大学生プロジェクトと継続性の課題への指摘も

ハナラボ
ハナラボ・角めぐみ代表

 当然ながら課題も多く、当日のディスカッションでもそれが主要テーマの一つになった。その最たるものが「継続性」である。

 今回の企画を動かしたのはハナラボの2期生。大学生は卒業とともに離れ、新たに入る下級生へのバトンタッチが必要となる。これは単なる業務フローの引き継ぎ以上の要素が多数含まれることが、そのハードルを上げている。しかし、既にOGである1期生からも自分たちの果たせる役割について声も上がり、彼女たちの活用も含めた仕組みづくりが求められる。

 また、活動そのもの継続性。北杜市のプロジェクトはキープ協会や東京海上日動システムズの支援を受けて行われた。さらに、代表の角さんが皆んなから愛され頼られているがゆえに、属人的になりがちな傾向も指摘された。

 今後、目的や見込まれる成果の提示方法を明確に示すことで、行政を含めた様々な支援を取り付けることや、ビジネス展開も可能になると思う。

 しかし、本当に驚いたのが、報告会で初めて見た女子大生のレベルの高さ。企画の目的や筋道をしっかり説明し、自信を持ってプレゼンし、ディスカッションでも周りの大人に引けを取らず、むしろリードさえしていた。

 こういうプロジェクトに参加する時点で彼女たちは十分に積極的だが、地元の人達とコミュニケーションを取りながら、アイディアを実現させていく過程で、彼女たちは相当成長した跡が(初見にもかかわらず)はっきりと伺えた。ハナラボの取り組みは、学生だけでなく、企業の新社会人向け人材育成プログラムとしても十分に活用できるだろう。