チキン南蛮カレー王子の真面目なプロモーション戦略
昨年から日本でも普及してきたネットサービスがクラウドファンディングだ。宮崎が発祥のFAAVO(ファーボ)は、地域密着のプロジェクトに特化をしている。その中で最も話題になったものの一つが、宮崎名物のチキン南蛮を使ったカレーのプロモーションソングを作るというプロジェクト。鹿児島県境に位置する都城市に、その仕掛け人である”カレー王子“こと日置純彦さんを訪ねた。
日置さんは常にマスクを被り、ネット上の会話の語尾には”ルウ”を付けることを徹底している。
「演劇の経験から、こういう繁盛店主が宮崎にいたら面白いなという設定を作りました。昔は、Twitterやブログのコメントやリプライを全て返していました。アルファブロガーと呼ばれる人のブログにコメントを書いて返事がもらえると嬉しかったし、舞台をやっていたので、嬉しいという思いをした人は、また見に来てくれることを知っていたからです。」
アメーバブログで最盛期には一日2万PVを集めるブロガーに成長。早い段階でTwitterも始めたため、Twitterが流行り出した時には既に2000人のフォロワーがいた。
そこへやってきた、2007年の「東国原ブーム」。県別のTwitterフォロワーランキングである「まちツイ」。1位の東国原知事の次にランクインするのは、マスクのアイコンの日置さんだった。何だコイツと注目を集め、さらには、全国放送のTVで宮崎の物産を紹介した知事が偶然手にしたのが日置さんのカレー。そこから電話が殺到した。
2013年6月26日には東京・神田にも直営の支店をオープン
「でもテレビはドンでストン。一瞬で上がるけど、それを拾うのがネット。取材依頼はブログ経由が今は大半です。」
地元ですっかり有名人になった日置さんがあえてFAAVOを使って曲を作った理由を聞くと、むしろFAAVOや宮崎を知ってもらいたいからという返答が返って来た。曲は全国各地で呼ばれるイベントを中心に流す予定だ。
「この歌どうしたの?と聞かれたら、FAAVOで集めたんだよ。FAAVOって何?と言われたら、さらに答えられます。FAAVOを見れば、宮崎でこんなことやっているんだとなる。だから、宮崎の宣伝をしたいなという思いです。」
FAAVO自体が、地域メディア・プラットフォームになる可能性を秘めていると言える。
チキン南蛮カレーを普及させるため、他の企業・飲食店と共に協議会も作った。
「これを言い出すと、ご当地グルメにならないと思うので、どこが発祥・元祖とは言わないです。宮崎でも出す店が増え、あの塚田農場もメニュー化しました。チキン南蛮カレーを文化として残せたらいいと思います。」
もっとも、チキン南蛮カレーが全く有名になっていない時代から、コツコツとネットで活動を続けていった結果、「チキン南蛮カレー」での検索結果は圧倒的である。本人は口にしなかったが、ナンバーワンの自負はあるはずだ。2013年6月26日には東京・神田にも直営の支店をオープン、新しい挑戦がスタートする。